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多品種になった「市民の幸せ商品」をどうつくるか?

更新日:2018年3月1日

市役所は「市民の幸せ商品」をつくる所

長谷川

少子高齢化という時代を迎えて、私たちはこれにどうやって対応できるか。従来だったら静かにして若い人の言うことばかり聞いていなければ駄目だという老いの文化です。でも、これから違うのよ。今までのは、貧しい日本社会の老いの文化なんです。しかも、そんなに長寿社会じゃなかった時の老いの文化なんですね。

外岡

もうそろそろ次のテーマに移らないと時間ないよ。皆さんに少子高齢化の第3の波、そういう現状を充分に話さなきゃ駄目だよ。

長谷川

少子高齢化にどうやって向かうかという時、自分たちの周りにある力をもう1回チェックし直さなきゃ駄目なのよ。これに立ち向かう時に「今までのお年寄り」じゃ駄目だし、「今までの市民」でも駄目なんです。そこに出てくるのは何かというと、市役所とどうやって力を合わせられるかということだったのよ。

市役所って何する所か分かりますか?市役所って「市民の幸せ商品」をつくる所です。ただし、この幸せ商品は税金という形で先にお金を取られ、後から還元されるんですけど…市民の幸せ商品をどうやってつくるかという課題があります。つまり、少子高齢化、都市化という問題を受けた時、私たちは、市民の幸せ商品のつくり方を改めて考えなきゃならなくなったんです。

多品種になった「市民の幸せ商品」をどう作るか?

長谷川

お金がたくさんあった時の龍ケ崎市役所だったらいいかもしれないけど、今無いんです。財政が厳しいんです。そうすると無い中で、市民の幸せ商品をどうつくったらいいかって事が課題になったの。市民の幸せ商品は今までは市役所がつくってきたの。だけど今では市役所だけでは到底手に負えないようないろんな問題になってきちゃいました。

ここがポイントです。市民の幸せ商品が多品種になったんです。皆の価値感がいろいろ分かれてきたから、「私、この幸せ商品が欲しい」っていうのが多品種になってきたんです。

外岡

でも、これは市役所だけがつくる商品じゃないんだよ。市民が必要とする幸せ商品を市役所が一生懸命つくってるけど、市民の要望に合致しない。どうやって要望をくみ上げるかも問題です。

長谷川

市役所はお金もないし、多品種はつくれないよね。

外岡

お金は無くても、つくる方法はあるんだよ。

長谷川

市役所は今までのやり方に従えば、例えば3つの幸せ商品しかつくれないとします。お金も必要ですしね。だけど外岡先生の言うように、市民の要望は3つじゃなくて、あと2つが絶対必要ってことになった場合、幸せ商品は全部で5つつくらなきゃならないの。

ところが、少子高齢化という社会が進んできて市役所にはお金が無いのよ。そうすると「3つしかつくれません」って市役所が言い出した時、「これ作って欲しい」「あれも作って欲しい」という市民の要望をどうするかってことです。皆さんはどうすればいいと思いますか?

「市民の幸せ商品」を「コンビニのおにぎり」に例えると…

長谷川

市役所は「市民の幸せ商品」をつくる所です。

この市民の幸せ商品をコンビニのおにぎりに例えて言いますね。私は一人暮らしだから、コンビニのおにぎりが好きなんです。

市役所が作れるおにぎりは、「おかか」「昆布」「梅干し」の3つ。新しい要望は「牛肉」「天むす」の2つ。「全部で5つ作って」って市民は言うんです。でも、市役所は3つしか作れません。

協働で作るおにぎり

長谷川

じゃあ、どうすればいいかと言うと、実は、おにぎりを一緒に作ってもらった方がいいんです。市民と一緒に市役所が協働で作ったら、市民にとっても「自分たちが作ったおにぎり」なんです。

市民の幸せ商品をコンビニのおにぎりに例えると

市役所が勝手に作ったおにぎりなら文句がでますけど、市民が自分たちで力を出して一緒におにぎりを作るというところから始めると納得がいくんです。その手法は市民と行政が力を合わせるから「協働」というんですね。

私たちはこの協働というやり方を初めて経験することになるんです。戦後の民主化の時も、都市化の時も協働というやり方はありませんでした。少子高齢化を迎え、問題が深刻になってきた時、いよいよ協働っていうのが前面に出てきました。

協働に取り組もうとするには、市民も変わらなきゃ駄目なんです。要望ばかり言っている今までの市民だったらもう駄目です。でも、それ以上に行政の中身が変わらないと…

私は市役所の部長以上の職員はあきらめているんです。なぜかっていうと、長い間協働というやり方はやってきていないのだから、今さらついて来れませんね。「そんなことない」と言ってくれればうれしいんですけど…

市民と市役所職員の意識改革

外岡

講師の外岡氏


これから、市民と市役所の職員は、対等でいろいろと自分の持ち味を出し合って考えて行かなくちゃ駄目なんです。市民はいくら変わろうと思っても「市役所は税金ばっかり取って何やってんだ」というような気持ちでいては駄目ですね。「俺たちがやらなきゃ」というようにならないと…

市役所の職員もいざ地域に入っていく時は、まるでよろいかぶとを身に付けたように、硬く構えて入ってはいけません。市民の方は会った瞬間に分かります。「何かをやらせようってのか?」と感じます。職員は「現状はこうなんです」「法律ではこうなっています」とか、ばっちりと固めてくるのが現在のスタイルですよね。これでは駄目なんです。市民ともっとざっくばらんに話せるようにしないといけない。お互いが意識改革をして、話し合いができるようになって協働のまちづくりができるようになると思うんですね。

長谷川

幸せ商品2.bmp

つまりこういうことです。幸せ商品に向かって行政と市民が対峙(たいじ)するのではなく、協働という仕組みで市民と行政が手を組む、このようなパターンに変えていくということです。

外岡先生がおっしゃったのは、行政は裃(かみしも)を着て地域に入って行く、突っ込まれないようにしてきました。地域懇談会とか部長たちはやってきましたよね?行政のプロだったら絶対そうですって。でも、それに対して市民も痛い所を突っ込みますし、要望とかも出してきます。そこに議員さんとか絡み始めますからなかなかうまく動かなくなります。
これからはそうではなくて、今度はお互いに幸せに向かって、対等にそれぞれが持っている能力を出し合うという仕組みを作って行かなきゃ駄目なんです。このことを外岡先生が今言ってくれたんです。でも「対等になる」って大変だよね。

外岡

大変ですよ。市役所の職員は、ほとんどが地元の人でしょう?そうすると近所付き合いの調子でいけばいいんですよね。市役所に出勤してタイムカード押すと人が変わっちゃうね。市役所の人が強いのは権限を持っているということです。権限は伝家の宝刀で、市民の要望にどう妥協できるかです。

長谷川

「駄目です」じゃなくて、「どうやったら実行できるか」という点で権限を活かしてくれればいい。

外岡

そういうふうに応用力を持ってやって行かないと協働はうまくいかないんです。名前だけになってしまうんです。

第2のニュータウン構想

長谷川

次のテーマに移りますけど、龍ケ崎は1945年、戦争に負けた頃は下の方の地区しかありませんでした。そこが民主化っていう課題に取り組み、都市化と共にニュータウンが作られ、皆さんが新しい幸せを求めて入ってきたんですよ。このふるさとを作ろうとしたんです。そして今、少子高齢化になった時、物理的なニュータウンを作ってきたんだけど、もう1度新たなニュータウン作りに入ろうというんですよ。それが、協働のテーマなんです。

つまりみんなが幸せになるためには、家を建てただけでは幸せにならないんです。新しい幸せを作るのは家ではなくて家庭でしょう。そのホームをつくる第2のニュータウン構想に入っていかなきゃ駄目になったんです。それには前から居た人たちも、新しくここに移り住んで来た人たちも相互に力を出し合ってやっていかなきゃ駄目になってきたんです。

だから第2のニュータウン構想に入ってきたんです。そのために要になるのは地縁なんですよ。

外岡

地縁、地縁って言うけどね、今まで奥さんに町内会のことでも何でもやってもらってて、仕事が定年になったからといって男が地域に戻ってすぐ入れるかな?

長谷川

それは難しいよね。

外岡

入れないだろうね。でも入っていく時には大事なことがあるんです。

三脱(さんだつ)の教え

外岡

地縁に入る時には、入る方も迎える方にも大事なことがあるんです。江戸しぐさに「三脱(さんだつ)の教え」というのがあります。それは、自分からは言わない、あるいは会った人に聞かない。「言わない、聞かない」というのが原則です。1つ目は職業。「前はどんな仕事してたんですか」とか聞かない。自分からも言わない。

2つ目は役職とか身分です。「俺はこんな会社で、常務をやってたんです」聞いてもいないのに言う人がいますね。3つ目は年齢。これも聞かないし、言わない。

団塊の世代の人は、退職してるから根掘り葉掘り聞いたりします。これはいけません。

地域に入って「おはようございます。今日はよろしく。」、「来てくれてありがとう。今日は頼むよ!」っていう感じで、まるでこれまでも昨日まで一緒にやってきた仲間のように受け入れる。そういう関係がいいですね。

長谷川

地域コミュニティをこれから作る時に参考となるのは、高度成長期以降の日本じゃなくて、それ以前にあった日本で、地域コミュニティ中心に動いていた文明がありました。その時代の日本人の考え方、やり方から学べば、新しい幸せの法則をつかめるんじゃないかっていうことです。

地域コミュニティが持っていた良さとか、当たり前のルールだとかを覚えるのには江戸しぐさが1番いいんです。江戸は、実は今の龍ケ崎にそっくりなんです。そこから出発します。いいですか!

混住社会の江戸

外岡

1590年、徳川家康が豊臣から江戸を与えられ、1603年、征夷大将軍になって全国の大名のトップになりました。それで家康は江戸の町づくりを行いました。800人くらいの小さな漁村が100万人の都市になりました。

竜ヶ崎ニュータウンは昭和57年(1982年)に入居が始まって、大体30年が経っていますね。江戸の城下町ができあがるまで35年くらいかかってますが、全国各地から人を集めたんです。

北は青森から南は九州までの各大名が家康からもらった工事をするため、大工、左官、石屋、何でも連れてこられた。

全国から来た人たちの言葉、文化が違う、それが分からない。いわゆる混住社会です。竜ヶ崎ニュータウンも同じでしょう。全国から人が集まって来たんですよ。

100万人の人口のうち、50万人が町衆で、50万人が武士階級ですが、10キロメートル四方の江戸の城下町の16パーセントぐらいの場所に50万人が住んだんです。そこで言葉も違う、食べ物も違う、葬式も違う、何から何までも違う人たちが、幸せに楽しく暮らすにはどうしたらよいでしょうか?(続く)

お問い合わせ

市民経済部 地域づくり推進課

〒301-8611 茨城県龍ケ崎市3710番地

電話:0297-64-1111

ファクス:0297-60-1584

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