スポーツクライミングには、「スピード」「ボルダー」「リード」の3種類の競技種目があります!
スピード
スピードクライミングは高さ10メートルもしくは15メートルの壁で、予めホールドの配置が周知されているコースをどれだけ早く登るかを競う種目です。選手はロープの繋がったハーネスを装着しますが、トップロープ(ロープが終了地点付近で予め支点確保されている。)スタイルで行うため、途中の支点確保は必要ありません。
一般的には予選と決勝トーナメントで行われ、予選では同一コースが配置された2つの壁でそれぞれ1トライずつの計2トライ、決勝トーナメントではどちらかの壁で1トライのみ行うことができます。予選は2トライのうち早い方のタイムを使用することができ、基本的には予選参加者の上位16名が決勝トーナメントに進出します。
決勝トーナメントは順位の高い選手と低い選手が1回戦で当たるように組まれ(1位と16位、2位と15位等)タイムの早い選手が勝ち上がります。タイムが同じ場合はカウントバック(前ラウンドの成績に戻って順位付けをすること。)が適用されますが、準決勝(残り4人)と決勝(残り2人)のラウンドで同じタイムの場合は、もう一度競技を行います。
世界記録:男子4.74秒、女子6.06秒
日本記録:男子4.97秒、女子7.37秒
※令和6年8月時点:WebメディアCLIMBERSクライマーズより
見どころ
スピードは、ビルの3階くらいに相当する15メートルの高さをあっという間に上がっていくため、トップレベルの選手のコンマ数秒の駆け引きやスリル満点の高速バトルが魅力です。
ボルダー
ボルダーは高さ5メートル以下程度の壁で、最大12手程度の複数の課題(ボルダー)をいくつ登ることができるかを競う種目です。選手は安全器具等を装着しませんが、地面には落下時の衝撃を吸収するマットが敷かれています。ボルダーは定められたスタート位置から始めて、トップホールドを両手で触り安定した姿勢を取ると完登とみなされます。
一般的には予選、準決勝、決勝の3ラウンドで行われ、予選では5本、準決勝と決勝では4本のボルダーに制限時間内であれば何度でもトライできます。予選と準決勝は各ボルダー5分間、決勝は各ボルダー4分間で競技が行われます。準決勝には24名、決勝には8名進出できるというのが一般的です。ベルトコンベア方式という形式で行われることが一般的であり、各選手は「競技」と「休憩」を交互に繰り返し、4つの課題ないし5つの課題の競技を行います。選手は競技時間でオブザベーション(登る前に壁を下見し、ホールドの形や位置、体の動き、手順、足順などをシミュレーションして攻略法を組み立てること。)も行う必要があり、他の選手のトライを見ることができません。
順位は「完登した課題数」で決まり、同数の場合は各課題に定められたゾーンと呼ばれる高度に達した数である「ゾーン獲得数」で順位が決まります。「完登した課題数」「ゾーン獲得数」が同じ場合は「完登に要したアテンプト(トライ数)」「ゾーン獲得に要したアテンプト」の順番で順位が決定されます。決勝でこれらも同じであった場合は、準決勝の順位を考慮するカウントバックが適用されます。
見どころ
課題を競技直前まで見られないため、最も効率的な登り方を短時間で瞬時にシミュレーションする力が求められるのがボルダリングの面白いところです。選手は個々の身体能力やアイデアを駆使し、頭脳と手足を巧みに使いながら驚くような姿勢で課題をクリアするのが魅力です。
リード
リードクライミングは高さ12メートル以上の壁で、最長60手程度のコースをどこまで登ることができるかを競う種目です。選手はロープの繋がったハーネスを装着し、途中の確保支点にロープをかけることで安全を確保しながら登り、最後の支点にロープをかけると完登と見なされます。
一般的には予選、準決勝、決勝の3ラウンドで行われ、予選では2本、準決勝と決勝では1本のコースにそれぞれ1回のみトライできます。競技の制限時間は1本のルートにつき6分間となります。トライをする前の選手は、基本的に他の選手のトライを見ることはできませんが、予選では予め実際にもしくはビデオでデモンストレーションを見ることができます。準決勝と決勝では進出選手皆で予めオブザベーションをすることができます。準決勝には24名、決勝には8名進出できるというのが一般的です。
順位は、各選手の獲得高度(どの高さまで登ることができたか)で決まり、墜落・時間切れ・反則をした時点での高度が獲得高度となります。もし獲得高度の同じ選手がいた場合にはカウントバックが適用され、それでも同順位の場合は獲得高度までのタイムが短い選手が上位となります。
見どころ
ボルダー同様、リードもオンサイト(初見)方式がとられているので、オブザベーションが重要です。高さを競うため、選手たちは一手でも上を目指し、渾身の力を込めて登ります。クライミング本来の醍醐味と緊張感のある駆け引きが魅力です。