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関東平野では竜巻が多い

更新日:2018年3月1日

竜巻は激しく回転しながら高速で移動する縦長の大気の渦です。
発達した積乱雲の底からロート状に下がってきて、地表に接した部分で猛烈な風によるきわめて局地的な破壊作用を加えます。
風速が直接に観測されたことはありませんが、最大で100m/秒程度と推定されています。
寿命(継続時間)はほぼ数分程度です。
回転するロート内では気圧低下により気温が下がるので、水蒸気が凝結して細かい水滴となって白く見えます.同種の激しい突風には、ダウンバーストと呼ばれるものがあります。
これは発達した積乱雲から冷たい空気が吹き降りてくる現象で、竜巻のような渦巻ではありませんが、きわめて局地的な強風であることに変わりはありません。
日本における竜巻の発生は年平均約17個です。その大部分は沿岸部で発生します。
唯一内陸部で多いのは関東平野です(図28)。
広い平野では地表の起伏による抵抗がないので、発生しやすくまた邪魔されずに進行できるのです。
茨城県では竜巻・ダウンバーストが年平均0.6個、その他の突風を含めると年平均およそ2個発生しています。
その大部分は県の西部および南東部(鹿行地域)です。

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アメリカにおけるトルネードとは違い、日本のたつ巻の勢力は弱いので、被害は多くはありません。
死者数はアメリカで年平均100人近くにもなるのに対し、日本では年平均0.5人程度です。
竜巻の被害では建物損壊数に比較して死者数が少ないという特徴があります。
建物は倒されるのではなくて屋根や2階が吹き上げられて飛散するためか、死者はあまり生じません.茨城における大きな局地突風災害には、1962年の東村における竜巻、1969年の猿島における竜巻、1990年の下館におけるダウンバーストがあります(図29)。
猿島竜巻は栃木県に入って消滅したあとすぐに再発生し、宇都宮南方まで50kmという、平均的竜巻の10倍ほどの長距離を進行しました。
竜巻による被害域の幅は平均100mほどと狭いのに対し、ダウンバーストは広い範囲に及びます。
下館の被害域の最大幅は3kmに達しました。
関東地方で発生した最も強い竜巻は、1990年の千葉県茂原におけるもので、猿島竜巻などより1ランク上(F3)の「猛烈な竜巻」に分類される規模でした(図28)。
F3のスケールの竜巻は、列車を転覆させ樹をねじ切り引き抜く力があります。

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竜巻は、上空が非常に低温で重くて上下の対流が生じやすいという不安定成層の大気があり、それをゆっくりと水平方向に回転させる力が作用する、という2つの条件が組み合わさると発生します。
風が上空に行くにつれ強くなり、またその風向が変わっていくという状態にあると、大気の回転が起きます。
竜巻が発生した時の気象状況で多いのは、低気圧・前線の通過時および台風接近時です(図30)。
前線は冷たい大気と暖かい大気の境界で、気温および風向の急変を伴っているので、回転力を生み出します。
台風接近時には、その進行前方の右側で竜巻の発生が多くみられます。
北海道・網走の南方、佐呂間における2006年竜巻では、竜巻内部の低い気圧による吸い上げの力に弱いプレハブの仮設事務所の2階に多数の人が集まっていたという悪い条件が重なっていたので、死者9名という大きな人的被害が生じました。

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2008年3月からは「竜巻注意情報」が発表されるようになりました。
これは、発達した積乱雲が接近しておよそ1時間以内に竜巻のような突風が起こるおそれがある場合に、県単位で地方気象台から発表されます。
茨城県では2008年に7回発表され、うち1回は実際に竜巻が発生し(土浦市とつくば市)、数棟の建物に一部損壊の被害が生じました。
竜巻の被害域は非常に狭いので、注意情報が出されても実際に竜巻に襲われる確率は極めて小さいものですが、発達した積乱雲がやってくれば強い風が吹くのはまちがいありませんので、屋外活動や高所作業などを中止するといった対応を行う必要があります。

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