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関東平野に大雪を降らせる「南岸低気圧」

更新日:2018年3月1日

真冬に多い西高東低の気圧配置のときには、冷たい北西の季節風が日本列島に吹きつけ、日本海には筋状の雲が連なります(写真6)。
この雲は、大陸からの寒気が水温の高い日本海を横断する間に海面から多量の水蒸気を取り込み、また下層が温められ対流を起こしやすい不安定状態になって生じた積雲の列です。
これが日本列島の脊梁山脈にぶつかり、日本海側の山地斜面を中心に大雪を降らせます。
脊梁山脈が低いところでは、筋状の雲は太平洋側に流れ出して雪を降らせます。
しかし関東平野は高い山にさえぎられているので、大雪の続く日本海側とは全く対照的に、空は晴れわたり乾いたからっ風が吹きます。

図42写真6.jpg

関東平野に大雪を降らせることが多いのは、冬型がゆるみ大陸の高気圧は少し北へ退いて、太平洋南岸沿いを西から東へと低気圧が発達しながら進むときです(図43)。
これは「南岸低気圧」と名づけられていますが、かつてはその発生場所から「台湾坊主」とも呼ばれていました。


低気圧の進行前面(東側)には温暖前線があり、南方からの暖気が北方からの寒気の上に這い上がっています。
この這い上がり角度は緩やかなので広い範囲に上昇気流が生じて雲がつくられ、降水(雨か雪)をもたらします。
前線の近くでは上空の暖気の影響で降水は雨となり、雪が降るのは前線からかなり離れたところです。
分かりやすい目安として低気圧が八丈島(龍ヶ崎から300km)の南を通ると関東平野で雪になるとされます。
低気圧のコースがもっと南に離れると、関東平野は雨雲・雪雲の範囲からはずれます。


冬季に上空の雨粒は小さい氷の結晶になっています。これが落下してきて地上で雪になるか融けて雨になるかは、地上付近から雲の高さまでの間の気温によって決まります。
一般に地上気温が2~3℃以下、上空1500mの気温が氷点下5~6℃以下であると雪になることが多いとされています。
低気圧が移動しながら発達すると北からの寒気が強く引き込まれるので、降雪となる低い気温条件がつくられます。
関東が雪になるかどうかの予報は、低気圧のコースとその発達、気温の低下などの予測に依存し、当たり外れがかなり大きくなります。

図43.jpg
新雪が積もる厚さは雨量(雨水の深さ)の10倍ほどで、降水量10mmでは10cmの積雪になります。
日本海側とは異なり雪が少ない関東では、10cmの積雪でも鉄道・道路の交通機能に大きな障害・混乱が生じます。
また、雪は湿っていて重いので電線が切断され停電などを起こします。
過去50年間における日積雪深の最大は、つくば(館野)で22cm(1986年)、東京で33cm(1969年)です。
大雪の降ることが多いのは1月から3月上旬にかけての期間です。


一方日本海側に大きな雪害を引き起こすのは、平野に多量の雪を降らせる里雪型豪雪です(図42)。
南下してきた寒気が切り離されて日本海上に寒冷渦が出現することがあります。
このとき冬型が緩んで日本海沿岸部で等圧線が東西にはしり、西寄りの風が吹きます。
ここへ北からの風が流入して海岸沿いに積乱雲を発達させ平野部にも豪雪をもたらします。
新潟の平野では一日の積雪深が100cmを超えるのはしばしばです。


積雪の比重は表面では0.1程度と軽いのですが、深い下層部では締め固められて0.5にもなります。
このため屋根雪の深さが2mにもなると、その重量は1m2あたり600kgを超えます。
この大量の重い屋根雪おろしの際における事故死は、雪に関係する死者の大半を占めています。
2006年の豪雪では全国の死者151名の74%が、1981年豪雪では全国の死者152名中の70%が雪下ろし・除雪作業に関連したものでした。

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