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地形条件と河川洪水の危険性

更新日:2018年3月1日

河川水の氾濫の形態にはオーバーフロー(越流)と破堤とがあります。
洪水の規模を大きくするのは破堤であり、これが生じた時点から災害が始まるとも言えるので、どこで破堤が起きやすいかを知りそれが起こった場合を想定して備えておくことは、洪水対策の一つの基本です。
破堤が右岸か左岸か、大きな支流と合流する上流側か下流側かなどで氾濫域や洪水流の運動は全く変わってくるからです。
破堤の原因には越流、河流の侵食(洗掘)、漏水があります。
最大の原因は水位が堤防よりも高くなって起こる越流ですが、水位が高くなれば洗掘や漏水も多かれ少なかれ同時に起こっています。


破堤が起きやすい河道地形などには、屈曲部、合流点付近、河幅の狭いところ(狭さく部)、水門の設置箇所、橋・堰の上流、旧河川の締切り箇所などが挙げられます。
屈曲部では外カーブ側で洗掘と水位上昇が起こります。
このため小貝川の高須における著しい屈曲部は1922年にショートカットされました。
合流箇所では流量の大きい本流の洪水が支流へ逆流します。
小貝川でかつて起こった洪水の大半には利根川からの逆流がかかわっていました。
利根川の幅が3分の1ほどに狭くなっている布川の狭さく部は、小貝川合流部での水位を高めています。


1981年の高須地先における破堤は、旧河川を締め切り、農業用水用の水門が設けられていたところで生じました(写真1)。
小貝川の水位は堤防の上面(天端)から3.5mも下にあり、また、利根川からの逆流により流れはほぼ停滞していたので、破堤には漏水が大きくかかわったと推定されます。
高須橋のすぐ上流であり、橋脚により流れが乱され渦を巻くなど、橋の存在が関係していたことも考えられます。
この5年後の石下町豊田(ここから30km上流)における破堤は水門設置箇所で起こり、漏水進行による堤防破壊の経過が連続写真に撮られています。

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河道から溢れ出た水は、低きにつくという自然の理に従い、基本的には河川低地の最大傾斜の方向に流れ、より低い場所に集まります.低地内には自然堤防と呼ばれる微高地、排水路や道路など線状の構造物などがあり、洪水の運動に影響を与えます。
氾濫流入量が少ない場合には一般に水深が小さくなるので、このような地形・地物の配列のしかたが大きく影響して、浸水域がより限定されます。
低いところが浸水しやすいとうことには必ずしもなりません。
流路が人為的に大きく変えられている場合、元の自然状態における流れを再現します。


龍ケ崎南部低地は東南東に向け傾斜しています(図11)。
佐貫付近から江川沿いに東南東方向へほぼ連続する自然堤防列(図1)は比高は1m程度と低いものの、小貝川氾濫の浸水域を常に限定しています。
南部では西方から伸びだしている取手台地が浸水域の境界になります。
破堤が牛久沼の南から羽根野の間のどこで起こっても、氾濫域は江川自然堤防列と取手台地の間に広がり、新利根川方向に流れるでしょう。
氾濫の規模が大きかった1935年の洪水でも、江川自然堤防列が浸水域の限界になっています(写真1)。
中心市街の南の江川左岸(市街側)にはかつて堤防(並木堤)を設けて、比高の小さい自然堤防上にある市街地への浸水を防ぐ備えとしていました。

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水の流れる速度は水深が小さいほど、また地面の勾配が小さいほど遅くなります。
日本の大きな河川のつくる平野の勾配は一般に1000分の1以下であり、河口近くのデルタ域では5000分の1以下にもなります。
このような緩い勾配を持つ広い平野で氾濫が生ずると、氾濫水は広がって水深が小さくなることもあり、破堤口近くは別として、その氾濫域の広がる速度はおおよそ人がゆっくりと歩く程度です。


1981年の小貝川洪水では氾濫域の平均勾配は2500分の1で、氾濫域先端の平均広がり速度は時速200~500mでした(図12)。
1935年の洪水では高須橋南の破堤口から南東に3km離れた押戸に洪水が達したのは3時間後でした。
この氾濫規模は大きくて水深も大きかったのですが、それでも進行速度は時速1kmほどでした。
河川低地内には道路・自然堤防・集落など流れの妨げとなる地形・地物があるので、氾濫流の進行はこのように遅くなります。
破堤洪水に直面した場合、そこからの距離により到達時間を目算し、余裕を持って家財等の退避や避難を行うことが望まれます。
1981年洪水の水理計算から、氾濫水に対する地表面の抵抗係数(粗度)として0.12(河川の約4倍)が得られ、この値を与えて氾濫域・水深・到達時間などの予測ができます。
氾濫流の水深は一般に1m前後なので、自然堤防上など小高いところにあれば、避難よりも家を浸水から守るなどの対策を優先したほうがよいでしょう。

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流れの中にある物体が受ける力(流体力)は、流速の2乗と水深とを掛けた大きさで与えられます。
流速は水深が大きいほど、また地面の勾配が大きいほど速くなるので、結局勾配の大きい場所における水深の深い流れは建物や人を押し流す力を持つに至ります。
山地内や山麓ではこの流体力が大きい激しい流れが生じて危険ですが、平野内においても地形・地物の配列のしかたによっては、局地的に流れの幅が狭められて水深と流速の大きい洪水流が生じて、人が流され家屋が流失することが起きるおそれがあるので注意しなければなりません。

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