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台地の地層と崖崩れ

更新日:2018年3月1日

斜面の地層はその傾斜の方向に絶えず引っ張られています。
その力は斜面傾斜に比例し急なほど大きくなります。
一方、地層はそれに抵抗する力を働かせて安定を保っています。
この抵抗力には土がくっつき合う力(粘着力)と上に載る地層の重さに比例する摩擦力とがあります。
大雨や地震により、地層内のある面において下に引っ張る力が抵抗する力を上回ると、この面で地層が断ち切られて、上の地層が一体となって滑り落ちます。
大雨による斜面崩壊では、地中に浸透した雨水が摩擦力を低下させることが崩壊発生の最大の原因です。
地震ではその加速度が引っ張る力を大きくすることが主原因です。
どちらの場合にも、外からは容易には分からない一般に複雑な地層内部の状態が大きく関係します。


斜面崩壊の危険を示すために、急傾斜地崩壊危険箇所の指定が行われています。
この指定の条件は、傾斜角30°以上、高さ5m以上で、住家5戸以上に危険が及ぶおそれがある、などです。
この最後の被災条件をはずした実際の崩壊危険箇所は、行政指定の箇所数よりもずっと多くなることを忘れてはなりません。
ここでは捉えやすい地形条件だけが採用されており、複雑で多様な地層条件は対象外になっていますが、実際にはこれの方が重要です。


龍ケ崎では現在のところ危険地の正式指定はなされていませんが、台地が小貝川低地に面するところ及び台地内の谷の側面に、このような急傾斜地が存在します。
その高さはほぼ15mまでで、数m程度が大部分です。
稲敷台地の南面崖下にはほぼ連続して集落が立地しており、危険地指定の被災条件もみたすような箇所が多少あります。
ニュータウン地区の人工改変地では、谷に面して盛土・切土の急斜面がつくられているところがあります。
宅地化など台地面の地形改変による雨水流出条件の変化は、崩壊の主要な原因になっています。


台地構成層は、上から厚さ2~3mのローム層、0.5~2mの常総粘土層、最大で5~6mの龍ケ崎砂礫層(層厚の場所による変化大)、最下部の成田層(海成の砂層)からなります(図13)。
すべて未固結の地層ですが、龍ケ崎層中にみられる鉄集積層や常総粘土層ではかなりの硬さ(難透水性)を示します。
ロームや粘土はくっつき合っていますが、砂はばらばらになります。
異なった強度や透水性もつ地層で構成される崖・斜面は一般に不安定です。
これらの自然の堆積層の表面を、風化によってできた表層土が多少とも覆っています。
その厚さは薄く10~20cmぐらいまでです。この表層土が滑り落ちるのが最もよく起こるタイプの斜面崩壊です。

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切り立った崖のようなところは除き、この地域の大部分の斜面は表土層に覆われ、樹木や竹林が茂っています。
その根は主として表土層中にありそれを繋ぎとめる働きもしていますが、強風や地震で揺すられて加わる力がある限度を超えると、根系の底面がすべり面となって崩壊を起こす可能性があります。
ほぼ同じ地層構成を示す利根川対岸の下総台地北縁では、1971年台風25号の大雨により多数の斜面崩壊が発生しました。
密生した樹木が強風で揺すられ表層土と共に落下して破壊作用を大きくしました(写真2)。
千葉県全体の死者は56人でした。
24時間で100mmというかなり強い雨が降り、ついで1時間に40~50mmの強雨が3~4時間続いたところで崩壊が発生しました。
雨の強さがこのように推移するときには警戒しなければなりません。
1987年の千葉県東方沖地震でも下総台地北面で多少の崖崩れがありました。

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台地の地層が露出する急な崖では、粘着性のない龍ケ崎砂礫層中の砂質部が剥がれ落ちて窪み、その上部がオーバーハング状になっています(写真3)。
樹木はそこに覆いかぶさるようになっているので不安定です。
落下した砂や風化土は崖下に堆積して傾斜角35°ほどの斜面(崖錐)をつくっています。
この崖錐が大きいところは崖の崩落が著しかったことを示します。
一般に古い集落の背後には樹木・竹林の密生した急斜面が多くみられます。
崖くずれの土砂が到達するのは、崖の基部からの距離が崖の高さと同じぐらいの範囲内ですから、この範囲外の少しでも離れたところに居住することが望まれます。

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