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堤防の高さはどのようにして決められるか

更新日:2018年3月1日

大雨のときに河川の水位は、雨が強くなるにつれ急速に上昇し、雨のピークの後ある時間をおいて最高に達し、その後雨が弱まるとゆっくり低下していきます。
この水位あるいは流量の時間変化を示す曲線をハイドログラフと言います(図54)。
河川堤防は水位が最も高くなった時にも溢れることがないようにつくられます。
水位や流量は雨が強いほど大きくなりますが、どの強さの大雨に備えて堤防など治水施設をつくる計画をたてるかは、それぞれの河川の重要度によって決められます。
利根川は最重要のA級で200年に1回の確率で生ずる大雨を、小貝川などの支川は100年に1回の確率の大雨を計画の基準にしています。
これらの確率の雨量が何mmになるかは、明治30年代ごろから得られる100年に満たない期間の雨量観測データの統計処理によって求めます。
大流域の利根川水系では流域平均3日雨量を使用していますが、小貝川では、基準地点とされている黒子(筑西市)においてこれは301mmと計算されています。
次にこの確率雨量がどのような時間経過でもって降るかを、過去のいくつかの代表的な大雨によって決めます。
これは同じ総雨量でも時間的に集中するかそうでないかを決めるもので、短時間に集中すれば水位・流量は大きく増します。

図54写真7.jpg

こうして計画降雨(降雨強度の時間経過)が決まると、この雨が河川に流れ出してきて基準地点において流量がどのような時間経過で出現するかを、流出計算という方法により求めます。
これにより計画の中心となる想定洪水のハイドログラフ(基本高水)が決定されます。
ここで基本高水のピーク流量が最重要の値であり、これをダムや遊水地に一時的に溜める分と河道に流す分とに分ける割合を、総建設費用が最小になることなどに基づいて決めます。
小貝川では黒子地点の基本高水ピーク流量は毎秒1,950立方mで、このうち毎秒650立方mを母子島遊水地(筑西市)などで調節し、河道を流れる最大流量である計画高水流量を毎秒1,300立方mとしています。
利根川本川では、基本高水ピーク流量毎秒22,000立方m(八斗島地点)のうち5,500立方mを、上流に造られている6ダムなどで調節する計画になっています。


次に、この流量の洪水が河道内を流下した場合に最高水位が各地点でどのようになるかを計算で順次決めていきます。
水位が高くなりすぎる場合には河幅を広げるなどして水位を下げるようにします。
こうして各地点での計画高水位(想定洪水時の最高水位)が決まれば、それにある余裕高を加えた高さの堤防が造られることになります(図55)。
川原代町の中郷地点における小貝川の計画高水位はT.P.8.93mです(写真7)。
T.P.は東京湾の平均海面を基準面とした標高で、一般の地図に示されているのと同じ標高です。

図55.jpg

このように治水の計画は重要度の設定という政策的判断が基礎になっています。
また技術的計算の過程でも、どの場所・期間の雨量データを使うか、どの大雨事例を採用するか、どの式を使用しどのような係数を与えるかなどの問題があるので、同じ確率年から出発しても計算によって出てくる最大洪水流量はかなりの幅を持つことになります。
さらに、この計画に基づいて建造される施設だけでは防ぎ得ない規模の洪水がある確率で存在するということを、明らかな前提にしています。

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