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雹(ひょう)の被害は北関東で最も多い

更新日:2018年3月1日

雹(ひょう)は非常に発達した積乱雲(雷雲)から降ってきた直径5mm以上の氷の塊です。
同じ氷でもこれより粒の小さいものは霰(あられ)と呼びます。
直径は2cmぐらいまでが多いのですが、5cmを超える大きなものもときにはあります。
空気中を落下する粒子は速度の2乗に比例する抵抗を受けるので、すぐに一定の速度(終端速度)に達し、この終端速度で落下を続けます。
直径2cmの雹粒の終端速度は秒速16m、5cmで秒速33m(時速120km)と高速です。
なお、直径0.5cmという大粒の雷雨の落下速度は秒速10mです。
雹が形成されるには、あられや雪にさらに大量の過冷却の(0℃以下の)水滴が付着する必要がありますが、これにはかなりの時間を要します。
もし積乱雲中に雹粒の終端速度に近い速さの上昇気流があると、それに支えられて落下速度が低下し、大きな雹粒にまで成長する時間が与えられます。
大きく成長した場合、途中で溶けきらずに地表にまで落下してきて降雹となります。
雨滴とは違い固体粒子の落下なので、同じ量の水であっても格段に大きな衝撃力を農作物などに与えます。


降雹は北海道から東北の日本海沿岸域、および北関東を中心とする内陸域で多く発生しています。
西日本では雷雨は多いものの降雹はほとんどみられません。
日本海沿岸で降雹が多いのは作物の少ない冬季が主なので、雹害はあまり発生しません。
雹害が最も著しいのは、福島の内陸域から北関東を経て長野・山梨に至る地域です(図44)。
発生するのは5月から8月上旬にかけての時期で、ちょうど多くの作物の生育期にあたります。
被害を受ける作物は、かつては桑・たばこ・小麦が中心でしたが、近年では果樹・野菜、それにビニールハウスの被害が目立っています。
茨城県における農業被害の発生件数で最も多いのは雹害です。

図44.jpg

雹は雷雲進行の方向に幅狭く細長い範囲に降るのが通常です。
山地部では、雹を降らせる強い雷雲はあまり長い距離は移動しないので、降雹は局地的です。
これに対し関東平野では、発達しながら東~東南方向に長距離を移動することがよく起こります。
群馬県中央部の赤城山・榛名山付近から利根川沿いに南東に移動するのが最も多くみられるコースです(図45)。
鬼怒川・小貝川沿いにもまたみられます。
雹が降るのは谷間や山麓など山に近いところが主ですが、ときには平野内に長さ100km以上の細長い降雹域をつくることがあります。


2000年5月24日正午過ぎ、群馬北西端の上越国境付近からほぼ利根川沿いに移動してきた強い雷雲が平野部でさらに発達し、茨城南部から千葉北部にかけての延長80km、幅10~15kmほどの範囲に雹を降らせました。
雹の大きさは最大で「ミカン大」と報じられたほどの大粒であったので、農作物だけでなく人身・建物・自動車などにも大きな被害が発生しました。
被害は両県の24市町村で生じ、農作物被害額60億円、負傷者160人、窓ガラス破損などを被った建物約4万5千棟、自動車の損傷は約3万3千台でした。
損害保険金の支払総額は300億円に達し、うち車両保険は130億円でした。
負傷の主要原因は、窓ガラスの破損および雹粒の直接の打撃でした。
雹粒が「ピンポン球大」を超える大きさともなると、このような人的・物的被害が生じます。


取手市では30人が負傷し、およそ1万7千世帯が窓ガラス破損などを被りました。
雹は厚いところで10cm近く積もりました。利根町では1,800棟が被害を受けました。
しかし龍ケ崎市では雹の被害は報告されていません。
このとき龍ケ崎市では12時40分からおよそ10分間に7mmの強雨が降っています。
もしこれが雹であったなら3~4cmほどに積もり、かなりの被害が生じたはずです。
雷雲がもたらす災害には、強雨と落雷の他に降雹・竜巻・ダウンバースト(強い下降流)などがありますが、これらは非常に局地的な現象で、場所による明暗がはっきりと分かれる被害を引き起こします。

図45.jpg

雹害対策には防雹網で覆うという方法があり、果樹園などで行われています。
特殊な方法としては、雷雲にロケットを打ち込んで内部に詰めたヨウ化銀を散布し、氷粒を雹にまで成長させないという方法があり、雹害の多い国々(ヨーロッパ諸国など)で実施されています。
日本における年間の降雹日数は最も多いところで2日程度ですが、南米やアフリカの熱帯高地では100日に達するところがあります。

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