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緊急地震速報をどう役立てるか

更新日:2018年3月1日

地震が起きると、進行の方向の前後に振動しながら進んでいく縦波(P波)と、横方向に振動して前進する横波(S波)とが断層面から放出されます。
強く揺れるのはS波でその速度は、揺れのより小さいP波の60%程度です。地下の硬い岩盤では、S波の速度は秒速3~3.5km、P波は5~6km程度です。
したがってP波が先行して伝わっていくので、まず最初にP波の弱い揺れ(初期微動)が感じられ、しばらくしてS波が到達し強い揺れ(主要動)が始まります。
初期微動の継続時間は震源からの距離に比例するという関係があるので、震源の位置は3箇所以上の地点でこの時間を測って決定します。
また、地震の規模(マグニチュード)は地震波の揺れの幅から推定します。


緊急地震速報は、震源近くでP波を観測して震源やマグニチュードを直ちに推定し、それが強い地震であったら、周辺地域に主要動のS波が到達する前にその情報をいち早く伝えようとするものです。
この緊急地震速報は、機器制御などの高度利用者向けに2006年8月1日から提供されており、一般向けには2007年10月1日に発表が開始されました。
地震検知・速報発信の流れは、(1)震源の最寄りの地震計がP波を観測する、(2)これを即座に気象庁へ送る、(3)送られてきた記録から震源位置・マグニチュード・発生時刻を決める、(4)これを情報配信機関(放送局など)や防災関係機関に伝送する、(5)これらの機関が一般市民・諸施設工場等に配信する、(6)この情報を受けて各種の緊急対応を始動させる、という各ステップからなります(図14)。

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緊急地震速報のシステムに組み込まれている地震計は全国で約1,000(気象庁約200、防災科学技術研究所約800)あり、その平均間隔は25kmです。
P波の速度は秒速5~6kmなので、最寄りの地震計にそれが到達するのに2~3秒以上かかります。
この観測データからある精度でマグニチュードなどを推定するには、複数の地震計が観測したデータをある時間蓄積させる必要があります。
不確かな情報を流すと種々のマイナスが生ずるので、一定以上の精度が求められます。
気象庁に送られてきたこのデータを解析して震源やマグニチュードを決定し、緊急地震速報第1報として気象庁が発表するまでには4秒ほどかかります。
この情報を受信・配信するシステムはさまざまで、手動操作が介在する場合があり、自動化されていても機器の立ち上げに時間を要することもあります。
これらの所要時間を足し合わせ、結局のところ一般向けに速報が発信されるのに、現在では10秒ほどかかっています。
2008年6月の岩手・宮城内陸地震では、気象庁が緊急地震速報第1報を発信したのは地震発生開始から9.2秒後であり、地震速報を最も必要とする震度6弱以上の地域にはS波がすでに先に到達していました(図15)。

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関東平野の直下では、地表から50~70kmほどのやや深いところで、かなり大きな地震がたびたび発生しています。
地震波は深い震源からいわば斜めに直進してくることを考えると、震央(震源真上の地表)からの距離が50~60kmの地震(これは直下型の大部分)では、緊急地震速報の前にS波が到達することになります。
震央から50km以上も離れていると、マグニチュード6クラスの地震の震度は5強以下で、大きな揺れにはなるものの大した被害は生じません。
いずれにせよP波の初期微動はかならずS波の強い揺れの前に到達するので、この直接感じ取れる確かな情報に基づいて、危険回避の緊急行動を起こすことが可能です。
震源距離が50kmの地震では初期微動は5~6秒間続くので、それだけの余裕時間があります。
震源距離80~90kmのやや深い地震では、緊急地震速報とP波とはほぼ同時に到達することになるでしょう。
龍ケ崎から50km圏内の地震観測点はかなり少ないのですが、その外側の陸域には多くの観測点があります(図16)。
房総沖および相模湾の海底には、海溝型巨大地震を震源近くで検知するための地震計が列状に設置されています。
これらの地域における地震はより早く検知できる状態にありますが、鹿島・九十九里の沖には地震計がないので、この海域の地震のP波は陸地まで到達してやっと検知されることになります。


情報がいくら早く与えられても、適切な緊急対応行動をすばやく起こせなければ意味ありません。
緊急地震情報を活用するためには、普段から身の回りにどのような危険があるか、それをとっさにどう回避したらよいかをよく知っておくことが必要です。
落下や転倒しやすい家具・陳列物・塀などが身近な危険の代表的なものです。
小さな地震をよい機会として利用し、初期微動を感じたらすぐにその場所に応じた適切な危険回避行動を起こしてみるという訓練は役立つでしょう。

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